過去の税務コラム
過去にお届けした 横浜の税理士 有森純税理士事務所 の税務コラムです。(別年度への切り替え→アーカイブ)
2024年5月
社宅を経費にして節税したい場合の注意点
全額経費にはできない
社宅を経費にして節税するとなると、賃料の全額を会社が負担すれば、従業員も喜んで人手不足の解決にもつながるし、節税にもなってお得と思っていませんか。ただし・・・続きを読む
社宅として借り上げた賃貸住宅の賃料全額を会社が負担してしまうと、無償貸与となってしまい、従業員は賃貸料相当額が給与として課税されてしまうので注意が必要です。源泉徴収される部分が増えると、従業員にはあまり好まれないので注意しましょう。
社宅を経費にするには
社宅を用意した場合に、従業員から1ヶ月あたり賃貸料相当額の50%以上を受け取れば、給与として課税されることはありません。また、社宅の借り上げ賃料のうちの会社の負担額は経費に算入することができます。注意したいのは、単純に賃料の50%以上ではなく、自社所有の社宅か、民間住宅などを借り上げた場合かを問わず、敷地と建物の固定資産税額を調べて計算する必要がある点です。
国税庁によると、賃貸料相当額は以下の3つの計算式の合計額となります。
・(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
・12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
・(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
単純に賃料の50%未満の金額を会社が払えば良いということではないので、注意しましょう。
住宅手当では不可
企業によっては福利厚生として、住宅手当として現金を給与と一緒に支給しているケースもあるかもしれません。仮に社宅として会社が契約したとしても、住宅手当の形で賃料の一部をカバーする場合は、社宅の貸与とは認められず、住宅手当全額が給料として課税対象になるので注意しましょう。社宅を使った節税をご検討なら、実行する前に当事務所へご相談ください。
2024年4月
2024年度(令和6年度)税制改正についてチェックしておこう
2024年度(令和6年度)税制改正のテーマ
2024年度(令和6年度)税制改正のテーマは、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和することと物価上昇を十分に超える持続的な賃上げの実現を図ることです。続きを読む
そのために、所得税・個人住民税の定額減税の実施をはじめ、法人税においては賃上げ促進税制の強化を図ることが目指されます。
個人所得税における2024年度(令和6年度)税制改正のポイント
所得税・個人住民税の定額減税として、納税者の合計所得金額が1,805万円以下である場合、納税者と配偶者を含めた扶養親族1人につき、令和6年分の所得税は3万円、個人住民税1万円の控除が受けられます。子育て支援税制の先行対応として、住宅ローン控除が拡充される点も注目ポイントです。令和6年に限り、子育て世帯等は借入限度額が認定住宅なら5,000万円、ZEH水準省エネ住宅なら4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円への上乗せがあり、床面積要件が緩和されます。
法人課税における2024年度(令和6年度)税制改正のポイント
企業における賃上げをバックアップするため、賃上げ促進税制の強化が図られます。また、資本蓄積の推進や生産性を向上させることで供給力を強化するべく、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制が創設されるのもポイントです。グローバル化を図るためにプラットフォーム課税の導入が目指されるほか、中堅・中小企業を支援し、地域経済の活性化を図るべく、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長や外形標準課税の適用対象法人の見直しも行われます。そのほか、中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充や第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税からの除外、交際費から除外される飲食費に係る見直しなどもあるので、気になる税制改正項目がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
2024年3月
インボイス制度の特例の一つ・消費税申告の2割特例についてご存知ですか
2割特例って何?
2023年10月1日より開始されたインボイス制度は、消費税の仕入税額控除に関する制度ですが、仕入税額控除の額を特別控除税額にすることができるのが2割特例になります。続きを読む
2割特例では、消費税の納税額について、預かり消費税ー預かり消費税×80%で計算されることになっているため、納税額が預かり消費税の2割程度になることから2割特例という名前が付けられています。インボイス登録するには消費税の課税事業者になる必要があるのですが、免税事業者が課税事業者になると納税負担しなければならないことや税申告をしなければならなくなるという手間などを理由に、個人事業主を中心として、どうしてもインボイスの登録が積極的に行われていないという背景がありました。そこで、政府としては個人事業主の方にもできる限り負担なくインボイスの登録を促進させる目的もあって、2割特例という特例を作られたのです。
2割特例の対象となる事業者とは?
ではここで、2割特例になる事業者について具体的に見ていきましょう。基本的に免税事業者からインボイス発行事業者としての登録を受けており、課税事業者になった場合に対象となります。また、課税売上高が1,000万円以下の事業者の場合にも適用になります。つまり、インボイス発行事業者として登録を受けていない事業者に関しては対象となりません。ただし、2割特例は適用される期間が設けられており、2023年10月1日から2026年9月30日までの課税期間になっています。2023年10月から課税事業者になる個人事業主の場合、2023年の10月~12月分の申告から2026年分の申告までの合計で4回の申告のみ対象となるのみです。つまり、この期間を過ぎると特例がなくなってしまうので、納税額の負担が増えることになるため、その点を考慮して免税事業者から課税事業者に検討する必要があります。
もし、個人事業主の方で、免税事業者から課税事業者に変わるか悩まれているという方は、当事務所へお気軽にご相談ください。
2024年2月
2024年から生前贈与への課税が変わります
贈与が7年に変更
2024年から実は生前贈与への課税が変わることをご存知でしょうか。よくわからない方も多いかもしれません。ここから、何が変わるのかご紹介します。続きを読む
2023年までは生前贈与が3年内の加算がルールになっていましたが、2024年からは贈与が7年になるのです。3年ルールの時に比べて長くなる分、贈与をした方が亡くなった時期によっては加算される時期が長くなる可能性が出てきます。ただし、新しい7年ルールは2023年12月31日までは適用ではないため、あくまでさかのぼるのは2024年1日1日以降です。完全に7年加算に移行するのは、2031年1月1日からになります。
延長された4年は100万円の控除がある
今までの3年間から延長された4年については100万円を控除できます。相続財産として加算しなくても良いというルールになりました。1年ごとに100万円ずつトータル400万円が控除になるのではなく、あくまで4年でのトータルが100万円と決まっている点も注意が必要です。加算対象者には変更がなく、孫やひ孫は入りません。3年加算のルールはあくまで加算対象者である相続人に限定されているため、孫やひ孫は関係ありません。
相続時精算課税の基礎控除も新設
相続時精算課税の基礎控除も新しく新設されました。こちらは、選択すれば年間110万円までの非課税枠ができ、申告義務がなくなります。そして、数年後に相続が発生した時も、非課税枠内で贈与した分は相続財産分として戻す必要もなく、完全に非課税にできます。
生前贈与の課税についてはご相談ください
ここまで、2024年1月1日に変わる生前贈与への課税について説明してきましたが、正直よくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。生前贈与したいと思いながらも、今回の制度で思った以上に課税されて損するのではないかと不安な方もいらっしゃるかもしれません。当事務所では丁寧に生前贈与のお悩みをお伺いいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
2024年1月
2024年以降も紙で書類の保存をしても大丈夫?宥恕や猶予について
電子帳簿保存法の宥恕(ゆうじょ)措置とは?
2022年に電子帳簿保存法が改正されたことで、国税関係の帳簿や書類などは、電子データとして保存しなければならなくなりました。続きを読む
電子取引でやりとりした書類は、原則として電子データのままで保存しなければならず、プリントアウトして紙で保存することは禁止となったのです。これまで書類を紙で取り扱ってきた企業や事業主様は、すぐに対応できずに困ってしまうことでしょう。デジタルに対応するためには、機材やシステムなどの準備も必要です。予算の面からすぐに対応できないというケースもあるかもしれません。そこで、2年間の猶予期間を設けるという宥恕(ゆうじょ)措置が設けられることになったのです。宥恕期間は、2022年1月1日~2023年12月31日までの2年間となっています。
2024年1月1日以降は猶予措置
宥恕措置は、2023年12月31日で廃止となりますが、2024年1月1日以後にこれまでプリントアウトした書類を電子化しなければならないということではありませんので安心してください。2024年1月1日以後も法律で定められた保存期間が満了するまで、そのプリントアウトした書類を適切に保存して、税務調査などの際に提示・提出できるようにしておけば特に問題はありません。ちなみに、2024年1月からは、要件を満たした場合は猶予措置が認められるようになりました。この猶予措置の適用となれば、2024年以降も紙での保存が可能です。
電子保存のことは専門家にご相談ください
ここまで、書類の電子保存義務化の猶予についてお伝えしてきましたが、ややこしくてよくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。何かご不明なことがありましたら、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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当事務所へは4駅から徒歩でお越しになることが可能です。
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〒220-0023横浜市西区平沼1-4-22
横浜平沼ダイカンプラザⅢ 703
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